プーチンが択捉島を訪問した。
それは我々日本側から見れば、ロシアの主張は筋も道理も通らず、日本の主張に正当性があると確信するのは当然だ。
日本側が自分たちの主張こそが正義だと確信しているように、ロシア側も同じように自分たちの主張こそが正しいと確信している。両者が自分たちの正義を確信したまま事態は硬直している。
だからバカの一つ覚えでいつまでも日本の主張を言い続けたところでロシアには通じない。
硬直した正義のぶつかり合いが生む永遠の停滞
日本は「歴史的経緯」「国際法」「サンフランシスコ講和条約の解釈」など、正当性の根拠を積み上げてきた。
ロシアは「戦勝国としての既得権」「安全保障上の前線」「極東の地政学的価値」を理由に、領有を揺るがせない。
両者の主張は、互いにとっては絶対に正しい。だからこそ、どれほど日本が正論を積み上げても、ロシアには一切響かない。正義は相手を説得するための道具ではなく、自分の側を固めるための鎧になってしまっている。
そして鎧を着た者同士は、殴り合うことはできても、歩み寄ることはできない。
言い続けるだけの限界
実効支配されたまま黙っていると、その実効支配を容認したと解釈されるので、日本の主張を言い続けることは大切だ。だが日本はいつまでも言い続けるだけで終わっている。日本側の論理による正義を語ったところで一向に解決はしない。
今まで散々言い続けた結果、抗議を続けた結果、何も動きがないという結果が既に出ているのだから、言い続けるだけではいつまで経っても今の状況がこれからも続くだけだ。
日本は主張を続けることで「黙認していない」という意思表示をしている。これは外交上、絶対に必要だ。しかし必要であることと、十分であることは別だ。80年間言い続けて結果はゼロ。これが現実だ。
主張を続けることは最低限の防御であって、攻めの戦略ではない。 防御だけで領土が戻ることなどない。
では何が必要なのか?
ここで日本が直面するのは、極めて残酷な問いだ。
「主張を続ける以外に、何をする覚悟があるのか?」
経済圧力か。国際世論の形成か。安全保障上のカードか。ロシアの極東政策の変化を待つのか。あるいは領土問題を棚上げして、別の利益を先に積み上げるのか。
どれも簡単ではない。だがどれも、言い続けるだけよりは現実を動かす可能性がある。
プーチンの択捉島訪問が示したもの
プーチンの択捉島訪問は、ロシア側の既成事実化の意思表示だ。「ここは我々の領土であり、日常的に統治している」というメッセージを、世界に向けて発信した。日本が抗議するのは当然だ。
しかしロシアは痛くも痒くもない。日本の抗議はロシアにとって想定内の雑音でしかない。ロシアは日本の抗議をコストとして認識していない。
北方領土問題は正義の問題ではなく、力と利益の問題だ。正義を語るだけでは動かない。動かすには正義とは別の現実的なカードが必要だ。
そしてそのカードを切る覚悟が、日本にはあるのか?今回のプーチンの択捉島訪問は、その問いを日本に突きつけている。



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